国立長寿医療研究センター 理事長 荒井秀典先生が執筆するフレイル予防コラム。
第10回は、筋肉に影響する食事に着目いただきました。今年も夏が長そうです。負けないためにも身体づくりを食事から考えてみませんか?
筋肉は私たちの体を支え、日常生活を円滑に進めるために欠かせない存在です。特に、筋肉の衰えはどこから始まるのか、そしてその進行を防ぐためにどのような食事が重要なのかを考えることは、健康を維持するために非常に大切です。
加齢と筋肉量の関係

まず、筋肉が衰えやすい場所について考えてみましょう。
筋肉は全身に存在していますが、特に衰えが目立ちやすい部位は、下肢や背中の筋肉です。
これらの部位は日常的に多くの負荷を受け、歩行や立ち上がり、階段の昇降などの動作に欠かせない筋肉が集まっています。
これらの筋肉の衰えは関節に負担をかけ、骨密度の低下や関節の痛みを引き起こすこともあります。

次に、筋肉を維持するために必要な食事についてです。
筋肉を作るための最も重要な栄養素はたんぱく質です。たんぱく質は筋肉の修復や成長に欠かせない成分であり、十分な量のたんぱく質を摂取することが大切です。
肉、魚、大豆製品、卵などのたんぱく質を豊富に含む食品を意識的に摂取することが、筋肉の維持に繋がります。
また、炭水化物もエネルギー源として重要であり、運動後の回復を助ける役割も果たします。

ビタミンやミネラルも筋肉にとって重要な役割を果たします。特に、ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨を強化するために必要不可欠です。
これらの栄養素をバランスよく摂取することで、筋肉を健康に保つことができます。食事の内容を工夫し、生活習慣を見直すことが、健康な体を作り、維持するために重要なポイントとなるでしょう。
■筋力のセルフチェック
*5回椅子から立ち上がる。
1)高さ40cm程度の椅子を用意する
2)椅子に座った状態から立つ・座るを5回繰り返す
その時間が12秒以上かかったの場合、バランス力低下のリスクがあります
※関節に痛みがある場合にはこのチェックはおやめください。

*片足立ち
1)目を開けたまま片足で15秒以上立ち続ける
2)反対の足で同様に15秒立ち続ける
左右ができない場合、バランス力低下のリスクがあります
※関節に痛みがある場合にはこのチェックはおやめください。

この2つのチェックに加えて、過去1年間の転倒歴がなければ、バランスの良い筋肉がついているといえる。
どれかに該当する場合には、かかりつけ医に相談が必要である。
文・監修:荒井 秀典

<略歴>国立長寿医療研究センター 理事長。日本老年学会 理事長。日本サルコペニア・フレイル学会 代表理事。J-MINT研究代表を務める。
著書/『フレイルのみかた』中外医学社出版、『40歳からの健康年表 (文春新書)』文藝春秋出版、『寝たきりにならずにすむ筋肉の鍛え方 かんたん体操&栄養知識でいつまでも歩けるカラダに!』河出書房新社出版 など他多数
■注意点■
☑本企画は、専門家の監修のもと編集をしていますが、実践して体調悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。
☑このコーナーでご紹介するのは、あくまでセルフチェックです。痛みや違和感がある場合は、自己判断せずお近くの専門医にご相談ください。
※弊社から荒井秀典先生に依頼をし、いただいたコメントを編集して掲載しています。
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荒井先生の「健康長寿応援コラム」は全10回です。
今回が最終回になります。
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